新型コロナウイルスワクチンの現状

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皆様こんにちは。

この1か月で、新型コロナウイルス感染症の新規感染者はかなり減少していますね。

一部地域の緊急事態宣言や水際対策強化がここまで効果的とは、正直予想していませんでした。

 

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さて、今日は現状で判明している新型コロナウイルスワクチンのことについて書かせて頂こうと思います。

 

1)新型コロナウイルスワクチンのスケジュール

一両日中に、まずはファイザー社のmRNAワクチンが認可される予定となっております。認可され次第、一部の医療従事者(おそらく総合病院勤務者主体)に接種が開始され、同時に安全性確認のための調査も実施されます。

 

その後、約400万人の医療従事者等、65歳以上の高齢者、基礎疾患保有者へ順次接種対象が拡がる予定となっています。

 

いずれのワクチンも2回接種が必要であり、投与間隔は21日、もしくは28日となります。

 

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2)新型コロナウイルスワクチンの種類

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現在日本で認可予定のワクチンは、mRNAワクチン2種類、ウイルスベクターワクチン1種類となっています。

ファイザー社およびモデルナ社のワクチンがmMRAワクチン

アストラゼネカ社のワクチンがウイルスベクターワクチン

です。

 

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認可の順番から、優先接種対象者にはファイザー社のワクチンが選択されることになると推測されます。

ファイザー社のワクチンは-75度で保存が必要なのですが、

特殊な冷凍庫、どうするんですかね?

このワクチンのためだけに購入したくないな…というのが本心です。

 

なお、浜松市では2月10日報道で以下のような記事がでています。

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当然、当院は協力する、に手を挙げています。でも冷凍庫どうするんでしょう…?

3)新型コロナウイルスワクチンの有効性

以下はファイザー社ワクチンの有効性を示したデータです

(44820人が参加した第三相試験)

青線が偽薬(生理食塩水)、赤線が実薬(ワクチン)です。

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簡単に説明すると、

・ワクチン群 18559人中9人発症

・偽薬(生理食塩水)群 18708人中169人発症

ワクチン有効率:94.6%

となっています。特に注目すべきは、ワクチン投与群で発症した人は接種後2週間以後に集中しており(まだワクチンの効果がでていない時期)、2週間経過した後は更に予防効果が高まると推測されます。

 

4)新型コロナウイルスワクチンの副反応・有害事象

ワクチンの話になると、必ずメディアを通し副反応・有害事象の話題が皆様の耳に入ります。負の面を知ることも当然重要ですが、過剰に不安を煽る報道もどうかと個人的には思います。過去も同様の歴史を繰り返しておりますが、詳細はここでは書きません。

 

さて、ファイザー社のワクチンの副反応ですが、(左棒グラフがワクチン投与群、右棒グラフが生理食塩水投与群)

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発熱、倦怠感、頭痛、寒気、筋肉痛、関節痛などの、感染症に罹患したときと類似の全身反応が主体です。また、グラフにはありませんが注射部位の腫脹、熱感などの局所症状も認められます。

そもそもワクチンというのは、無害な物質を体内に投与することにより、病原体への免疫反応を強化するというものです。

そのため、免疫を有さない病原体への体内免疫機構を構築する過程で、上記のような全身反応を示すのは避けれない道ともいえます。

新型コロナウイルスは多数の方にとっては感染経験のない病原体であり、インフルエンザワクチンよりも全身反応の頻度・程度は強いと推測されます。

 

また、ワクチンによる重篤な副反応として「アナフィラキシーショック」が挙げられますが、アメリカ合衆国のデータで、2020年12月14~23日の期間に投与した189万3360件中、21件(100万回あたり11.1件)認められたというデータがあります。

なお、ファイザー社の第三相試験や、12月14日~23日の投与後調査において、ワクチンによる死亡例はありません。

5)まとめ

新型コロナウイルスワクチンは非常に高い有効性が期待できます。

投与後数日間の副反応(発熱やだるさなど)は少し嫌ですが、自分が感染することはもっと嫌です。

医療者として万が一自分が感染したときに診療が長期間停止してしまうこと、患者さんへ移してしまう危険性があることを考えると、絶対に接種すべきと考えております。

また、当院へ勤める職員にも、自身が感染し患者さんへ移す危険性を減らすため、積極的に接種を勧めていきます。

ただ、課題はあります。これは我々の問題だけではないですが…

・ワクチン投与後の副反応で発熱したときの休業補償はどうなるのか?

・ワクチン投与後の副反応に対する医療行為は公費対象となるのか?(ワクチンは全額公費対象です)

予防接種健康被害救済制度というものはありますが、軽度の副反応にこの制度を利用するのは非現実的であり、副反応対策として煩雑な手続きなく公費負担での治療ができる体制が整備されていません。国にはこの点も十分協議してもらいたいと思います。

 

申請から認定・支給までの流れ