最新のデータに基づく新型コロナウイルス感染症への考え方

皆様、こんにちは。

非常に稀にしか更新されないこのブログですが(すいません…)、新型コロナウイルス感染症第7波について、データを基にまとめてみましたので、書いてみます。

 

1)現在の新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況について

データは、厚生労働省データベースから引用しています。

covid19.mhlw.go.jp

さて、人口ピラミッドと比較してみると、現在の株(オミクロン株 BA.5)では年齢が高いほど罹患率が低い気がします。

実際、デルタ株とオミクロン株ではどのように違うのでしょうか?

 

上の表は2022年7月26日までのものですが、

・オミクロン期は2022年1月以後

・デルタ以前期は2021年12月以前

としてデータをまとめ、比較しています。

デルタ以前は20-30代が最も罹患率が高かったものの、オミクロン株になってから10代以下が最も罹患率が高いことがわかります。恐らく、BA.5となってからこの傾向はより顕著になっている気がします。

要因としては3回ワクチン接種率の差がある(年齢が高いほど接種率が高い)ような印象はありますが、それだけで説明のつくような差でなく、単純に年齢が高いほど罹患しにくいとか、行動が慎重とかいう要因があるかもしれません。

なお、過去、新型インフルエンザが流行したときは、ワクチンが行きわたらない中でなぜか高齢であるほど罹患率が低い状態でした。

 

2)現在の新型コロナウイルス感染症によるリスクについて

新型コロナウイルス感染症による死亡率について調査してみました

(データは2022年7月26日までのものを使用)

デルタ株以前は、かなり死亡率が高く恐ろしいウイルスであることがわかります。

しかし、オミクロン株以後は相当死亡率が低下しています。ワクチンの効果および弱毒化によるものですね。

なお、これをインフルエンザと比較するとどうなのか(2017 9 月~2020 8 のデータ)*引用元 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000906106.pdf

…なんか、オミクロン株と殆ど変わらないような気がしますね。

但し、BA.5においては重症化リスクが上昇している懸念があるので、要注意です。

 

3)ワクチンへの考え方について

上記のデータを基に、オミクロン株主流時代におけるワクチンについて考えてみたいと思います。

現在わかっていること

・オミクロン株では、4回目ワクチンは重症化リスクを40%程度低下させるが感染予防効果は殆どない

・5-11歳対象の研究では、オミクロン株において感染予防効果は31%、入院予防効果は68%である(以下参照)

しかし、現在の主流であるBA.5株では、ワクチン効果は更に減弱していることが予測されます。

 

一方で、副反応については

(データが非常に細かいですが、厚生労働省ワクチン分科会資料→新型コロナワクチンの副反応疑い報告について|厚生労働省を参考としています。)

・12歳以上のワクチン接種後の死亡例は100万例あたり7.4例(0.00074%)*但し因果関係が明らかと認定されたのは約1600例中1例のみ、他審議中…

(なお、政府は「現在までにワクチンとの因果関係が明らかな症例はありません」と一貫して言っていますが、厚労省資料を確認すると因果関係強そうな症例はいくつもあるので、この点で私は政府見解に疑念を抱いています)

・5-11歳のワクチンで「重い副作用」として報告されているのは21例(1236980例中21例→0.00169%)

 

上記のデータや、今までの他データからの個人的な意見ですが、以下の通りです。

・60歳以上:4回目ワクチンはオミクロン株でも死亡率が0.1%を上回る60歳代以上ならメリットがデメリットを大きく上回りそう。副反応が今まで気にならなかった方は打ってもよさそう。

・12歳以上60歳未満:4回目ワクチンは基礎疾患がなければメリットは乏しい。3回目ワクチンまで完了していればリスクはかなり減少しているはず。更に、40歳未満の基礎疾患のない方であれば2回接種でも許容できるかもしれないし、特に30歳未満は3回目を打つメリットすら低いのかもしれない。

・5-11歳:ワクチン接種による重い副作用のリスクが死亡率を上回っている。またこの年代における重症化リスクが明確ではないので、重い副作用のリスクと重症化リスクを比較することが難しい。更に、感染予防効果もBA.5株主流となり期待できない可能性が高い。

以上より12歳未満ではワクチンのメリットがデメリットを上回るといえるだけのエビデンスがなく、逆にデメリットが上回る可能性もある。

 

4)まとめ

・既に新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザウイルス同様に一定のリスクを受け入れて共生していく段階に来ています。但し、今後のウイルス変異により強毒化、死亡率上昇の危険性があり、まだ感染予防策の緩和は危険だと考えます(感染症法に基づく全例報告制度や、発症者の隔離体制は維持したほうが良いと思います)

・どのような手段をとってもゼロリスクは不可能であり、症状のない人、既にBA.5に罹患したと思われる方は積極的な経済活動へ携わったほうが良いと思います。あとは政府の発信が重要と思われますが、世間的には「なにもしない政府」と認識されている印象があります。まあ、ゼロリスクは断念してほしいと明言できない事情もわからないでもないですが…

・現状でも小児を守る手段がないのが最大の問題点です。早くオミクロン株対応ワクチンが流通することを願います。

 

以上、現状で手に入るデータを基にした、私見ではありますが現状分析です。

皆様の新型コロナウイルス感染症に対する理解に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

美容商品の新規販売について

さぎさかクリニック 院長です。

 

当院で新たに取り扱いを始めた商品につき、紹介させて頂きます。

なお、本日紹介するものは、いずれも医療機関専売商品となります。

 

なお、当院では本当に皆様にお勧めできる商品のみ採用する方針です。

当院の美容担当スタッフNを中心に、様々な商品を検討し厳選しました。

 

まだ当院で販売できる商品は2種類のみですが、今後も皆様にお勧めできる商品があれば、順次当院での取り扱いを始めようと考えています。

 

 

①エニシ―グローパックCL 価格:24,200円(10回分、税込)

詳細は以下をご確認ください。

rhythm-rhythm.co.jp

私やスタッフも使用してみましたが、1回のみ使用しても数日間はとても肌の調子が良くなります。若干刺激性はありますので、敏感肌の方は気を付けなければならないかもしれません。

なお、現状では、静岡県内では当院が唯一の取り扱い医療機関となっております。

 

②ガウディスキンシリーズ 

詳細は以下をご確認ください。

https://www.instagram.com/gaudiskin/

当院ではシリーズ全て(6商品)を取り扱っています。

価格

・エクラリバイブ(内容量50g:価格 19,800円(税込))

・デュアルレチノプラス(内容量27g:価格 8,580円(税込))

・デュアルレチノライト(内容量27g:価格 8,360円(税込))

・HQクリア(内容量60g:価格 9,900円(税込))

・スムースクレンズ(内容量200ml:価格 5,720円(税込))

・インナーモイストTAローション(内容量180ml:価格 6,600円(税込))

(2023年11月1日 追記 販売元の価格改定のため以下のように価格変更いたします)

・エクラリバイブ(内容量50g:価格 19,800円(税込))

・デュアルレチノプラス(内容量27g:価格 8,800円(税込))

・デュアルレチノライト(内容量27g:価格 8,580円(税込))

・HQクリア(内容量60g:価格 9,900円(税込))

・スムースクレンズ(内容量200ml:価格 5,940円(税込))

・インナーモイストTAローション(内容量180ml:価格 6,820円(税込))

 

GAUDISKINはみずぐち形成外科クリニック 水口敬先生により監修、開発された製品です。

コンセプトを抜粋させて頂くと…

・日本品質、日本プライドで、原価という縛りを考慮しないプランニングのもとに作り出され、「日本人にとっての考えうる最良」を形にした製品

・日本人の肌質にあったビタミンA製品

・効能ではなく効果を実際に実感できる成分を選択
・キャッチーな目新しい成分よりも、実績のある成分を効く濃度でしっかり配合
・有効成分の含有事実よりも、その成分を生かす成分バランスを重視
・流行だけの成分、見せかけの高濃度を売りにしない
・最小限のアイテムになるよう計算された製品ラインナップ

真に良いものを、正しい情報を基に患者様に届けたい、という当院のコンセプトとも合致しており、当院での取り扱いを開始させて頂くこととしました。

 

GAUDISKIN製品のうち、特にレチノール、ハイドロキノン含有製品においては、水口先生の御意向により医師の定期的な診察を義務付けられています。

第一の理由としては、「患者様に合った製品を適切に提供するため」です。

また、水口先生の経験に基づき、医師のスキルアップのためにも、定期的な診察を推奨されています。

この理念にも当院では大いに賛同しますため、製品購入された方には是非定期的な診察をお願いしたいと思います。

なお、当面の間、 GAUDISKIN製品に関連した診療(カウンセリング)については、診察代は不要です。

 

なお、普段から当院を御贔屓にしていただけている方々にはキャンペーンも随時実施していますので、来院時にスタッフにお問合せください。

 

 

 

オミクロン株主流時代におけるワクチンの有効性

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2月から3回目のワクチン接種(ブースター接種)が本格化し、当院でも日曜日を利用し少しでも多くの患者様にワクチンをお届けできるよう、スタッフ一丸努めています。

なお、接種率は現在、以下の通りとなっています。結構急速に進んでいますね。

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3月以後の当院での接種ですが、ファイザーワクチンの不足により、モデルナワクチン接種となります。

3回目は1/2回目の半量での投与となるため、副反応軽減が期待されますが、実際どうなのでしょうか?

その他、3回目のワクチン接種がどれほど有効なのでしょうか?

今後認可される5-11歳のワクチン接種の意義はあるのでしょうか?

 

など、現状で判明しているデータを基に説明したいと思います。

 

1)3回目はファイザーが良い?モデルナが良い?

オミクロン株に対する効果について

発症予防効果

英国健康安全保障庁(UKHSA)の報告によると

ファイザー社、モデルナ社ワクチンの2回目接種後の発症予防効果
 2-4週後は65-70%  25週後までに約10%まで低下
ファイザー社、モデルナ社ワクチン2回接種+追加接種後の発症予防効果
 2-4週後は60-75%  15週以降は25-40%まで低下

と、追加接種により一時的に発症予防効果は高くなりますが、やはり時間がたつと効果は減弱していきます。

入院予防効果

英国健康安全保障庁(UKHSA)の報告によると

‒ 1回目接種4週以降58%
‒ 2回目接種後2-24週64%
‒ 2回目接種25週以降44%
‒ 3回目接種2-4週92%
などのデータがあります。3回目接種後の長期データはまだ不明です。

参考→https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/uploads/11-3%20%282%29.pdf

 

副反応について

3回目はモデルナは1/2回目の半量、ファイザーはそのままの量での投与となるため、モデルナワクチンの副反応軽減が期待されましたが、実際には発熱はモデルナのほうが多そうです(ファイザーで39.8%、モデルナで68.0%と報告)

また、3回目接種では、1/2回目接種と比較し腋窩リンパ節の腫大や腋窩痛が多いようです。

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参考→https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000899481.pdf

 

2)3回目ワクチンはお勧めできるのか?

個人的な結論としては、従来株のスパイク領域をターゲットとし設計されたワクチンですので、オミクロン株に対し現状のワクチンの効果は不十分と思われます。

それでも、重症化リスクのある方=広く考えると40歳以上=は接種を強くお勧めしたいです。

一時的に発症予防効果が上昇しても効果が数か月で減弱してしまうため、もともと入院リスク・重症化リスクの少ない方々(基礎疾患のない40歳未満の方、かつ2回ワクチン接種済の方)は各々の選択で良いと思います。

但し入院・重症化リスクの少ない方々でも、少しでも発症を避けたほうがよいカテゴリー(医療従事者・介護従事者・学校/保育関係者などのエッセンシャルワーカー)の方々は接種を勧めたいと思います。

また、2022年1月以後に新型コロナウイルス感染症に罹患した方々は、現在敢えて3回目のワクチンを接種する意義は乏しいかもしれません。

 

3)5歳~11歳のワクチンはどうすべきか?

オミクロン株が流行する前のデータでは、小児へのワクチン接種により新型コロナウイルスに対する中和抗体価の上昇や90.7%の発症予防効果が確認されていること、安全性に重大な懸念は認められていないことが報告されていました。

しかし、オミクロン株については小児における発症予防効果・重症化予防効果に関するエビデンスが十分でなく、かつ小児におけるオミクロン株の感染状況が確定的でないこと(中等症以上の重症化リスクが極めて少ない可能性がある)から、政府は「努力接種」の規定は適応しないこととなりました。

個人的には、現状で11歳未満に積極的に現在流通しているワクチンを推奨する理論は揃っていないため、もう少し様子を見てからで良いのではと考えます。

 

4)現状のまとめ(私見

コロナウイルスは変異を繰り返していくウイルスであり、今後もしかしたらデルタ株以上の毒性、オミクロン株以上の毒性を持つウイルスが出現するかもしれません。

そう考えると、小児にも基礎免疫をつけるために今のうちから2回接種はしておいても損はないのでは?…とも考えられますが、現状では新たに強力な変異ウイルスがでるかどうかも不明です。なので、現状で11歳以下の小児へのワクチン接種は無理をしなくても良いのではと思います。

どうしても、少しでもリスクを減らしたいと考える方は接種してもよいかと思いますが(安全性が高いことは証明されているため)、接種する場合は保護者だけでなくお子様とも十分理解し納得した上での接種が望ましいと考えます。

 

同時に、ローリスク群(40歳未満かつ基礎疾患なし)でも3回目の追加投与は個人の判断で良いのではと考えます。

 

但し、重症化リスクのある方々、エッセンシャルワーカーの方々(特に医療従事者)は少しでも発症リスク・入院リスクを減らすため3回目接種を受けるべきと考えています。

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症~オミクロン株について

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新型コロナウイルス感染症において、現在はほぼ、オミクロン株に置き換わってしまったと思われますが、このオミクロン株によりたった3週間程度で一日当たり感染者が5万人を超えてしまいました。

10月から12月末までは一日当たり感染者数が500人未満で推移していたのが、たった3週間で100倍の感染者数です。

但し、実際の感染者はその数倍存在している可能性も十分にあります(発熱外来が空いておらず受診できない、ごく軽症であり受診の必要性を感じていないなどの理由)

 

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さて、何でこんなに急速に感染者が増加してしまったのか?

現状の問題点は何なのか?

今後どうしたら良いのか?

私見も交えながらお話ししたいと思います。

(尚、様々なデータを参考としてお話ししますが、データの画像添付するとすごく長くなるので、敢えて省略します)

 

1)オミクロン株の強力な感染性

①世代時間の短さ

たった3週間で100倍もの感染者数に達するオミクロン株ですが、その原因の一つとして

「世代時間」が短縮していることが挙げられます。

感染した人が別の人に感染させるまでの時間を「世代時間」と言いますが、デルタ株は4.6日と推計されているのに対し、オミクロン株は2.1日に短くなっているとされています(厚労省専門家会議資料を参照としました)

②ワクチンの発症予防効果の低さ

デルタ株であれば、2回接種後4か月でも70%程度の発症予防効果とされていますが、オミクロン株の場合、20%未満となってしまいます。mRNAワクチンは起源となった株のスパイクタンパク質を抗原とし、体内に免疫を作る仕組みですが、オミクロン株はスパイク領域に30か所程度もの変異があるので、効果が低下します。

③軽症者の多さ

オミクロン株により新型コロナウイルス感染症を発症した方、更にワクチン2回接種済の方の殆どが、本当に軽い症状(微熱、咽頭痛、鼻炎)などの方が多い印象です。しかも数日で快復傾向となる。症状としてはいわゆる「風邪」です。

なので、発症後もいわゆる「風邪」と思い、まさか新型コロナウイルス感染症と思わずに元気に社会活動を営まれる方は多いと推測されます。

(本来は風邪は殆どがウイルス感染症が原因であり、風邪症状が出現した際には感染予防対策を速やかに強化することがベストなのですが、新型コロナウイルス感染症流行前は風邪症状があっても普通に社会生活を営んでおり、なかなか行動様式は変えられるものではありません)

④上気道症状主体の症状であることが多い

デルタ株流行期には、症状として発熱・咳などが主体、喉や鼻の症状は乏しく、いわゆる下気道(気管より奥)症状が主な患者さんが多かったのですが、オミクロン株感染者は殆どが咽頭痛・鼻炎など上気道症状で発症しています。上気道のほうが口腔に近いため、排菌量が多くなる可能性があるのかなとも思います。

 

…上記をまとめると、オミクロン株の特徴として

・感染成立後ウイルス増殖が速い

・ウイルス保有量が多くても軽症であることが多い

・上気道感染のためウイルスを排出しやすい?

・ワクチン効果が乏しい

などが複合的に絡み合い、異常な感染拡大につながっていると考えられます。

 

2)現状の問題点

①診療上の問題点

当院では今までと同様に、

・できるだけ感染者を早期に同定し、速やかな隔離に繋げ感染拡大予防を目指す

・すべての感染症新型コロナウイルス感染が原因である可能性を考え、診療前から徹底的なゾーニング(感染者と非感染者の動線分離)を行う

・抗ウイルス薬が存在しない現在(正確にはハイリスク患者以外に抗ウイルス薬が使用できない)でも、できるだけ症状の緩和を目指し投薬する

・経過中に新たな症状の出現、その他様々な心配なことが生じた際に適切にフォローアップする

ことを原則として考えたいのですが、喫緊の課題は

「検査キット(抗原・PCR)」が近日中に枯渇しそう

なことです。大問題です。

新型コロナウイルス流行前、毎年のようにインフルエンザウイルス感染症が流行していた際には、ピーク時に約200万人がインフルエンザウイルス感染症に罹患し、その方々の大半は検査を受けていたはずです。

現状は週30万人程度、国内の抗原キット産生能力は十分残っているはずだし、オミクロン株流行の海外の状況を見たうえで、検査キット増産など、事前に手は打てたはずです。

また、新型コロナウイルス感染症に罹患すると、現状では隔離期間中は保健所が健康観察をすることとなっており、受診するにも保健所の調整が必要です。しかし保健所の業務能力にも限界があり、この制度により第5波のピークのときにも重症者の受診遅れに繋がってしまったのですが、そこから第6波を見据えた対策をすることなく、第6波に突入してしまいました。政府はこのままゼロコロナの世界が達成できると妄想していたのでしょうか?あまり政治的なことは述べたくありませんが、正直、無能だと思います。

 

②社会活動の問題点

オミクロン株の特徴として、若年者(学生)から家族へ伝播し、一家で2週間程度身動きがとれなくなる、というケースが多発しています。なぜかデルタ株までは20歳未満の感染者は成人と比較して少なめだったのですが、オミクロン株はインフルエンザウイルスと同様、若年者から社会へ広がりを見せています。

更に、3週間で100倍の感染数となっているため、隔離対象者は既に数百万人に達していると思われ、様々な業種で活動の停滞、破綻が生じつつあります。

 

…以上をまとめると、

・現状の政策のままだと、近日中に検査をすべての疑い患者に実施することが困難となり、正確な感染者数が把握できなくなる

・感染者を把握しきれないことから、適切な隔離が困難となり、感染拡大に拍車をかける

・ますます社会活動が停滞・破綻する

という悪循環しか見えないということです。

なお、海外や国内の一部で感染者がピークアウトしているともいわれていますが、これ、実は検査が十分できておらず正確な感染者が把握できていないのでは、とも考えています(私見

 

3)今後どうしたら良いのか?

オミクロン株はワクチンの有効性の低さ(3回接種でオミクロン株でも70%程度の発症予防効果まで回復しますが、1か月で50%程度まで低下するため感染予防をワクチンに期待するのは難しいでしょう)が問題で、ワクチン3回目接種の早期実施だけでなく、月単位のロックダウンをしないとゼロコロナは目指せないでしょう。非現実的です。

幸い、オミクロン株で入院を要する確率(中等症以上となる確率)はデルタ株と比較しかなり低いことが判明してきたため、社会活動を維持するにはインフルエンザウイルス感染症と同様「症状のある人は休む、発症後5日以上、かつ症状改善後48時間以上経過すれば社会復帰可能」という基準を適応するしかないのかと思われます。

あとは、上記基準を適応するとしたら、ハイリスク群を重症化させないため、高齢者、基礎疾患保有者を最優先しワクチン接種3回目を遂行すること、現在ワクチン未接種の方(特に40歳以上)で、接種を希望される方に優先接種することも必要でしょう(私見です)。

 

本日の報道で、政府方針として「濃厚接触者で発症した場合は検査省略可能」「軽症患者は受診せず自宅療養可能」などと言われていましたが、これは検査キット不足を招いてしまった現状をごまかすための施策としか思えません。

少なくとも、海外のデータ、更に国内のデータや、オミクロン株独特の傾向もかなり明確になってきたため、為政者には早期に「大きな方向性」を示していただきたいと思います。

(特定政党の応援など、政治的主張をするつもりは全くありません、私見です)

 

いずれにしても、私がここで不満をたらたら述べても何も変わるわけではありません。

初期診療にあたる診療所としては「迅速な診断、適切な療養指導、投薬、経過観察」を粛々と遂行するのみです。先週から多数の感染症患者さんの診療にあたっており、スタッフ一同疲労が蓄積しておりますが、病気になられた患者さんの大変さを最優先で考え、できるだけお断りすることなく診療を継続させて頂きたいと考えています。頑張ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風邪ってなんでしょうかね

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久しぶりの投稿です。

今日は、「風邪」という言葉についてのお話しを少しだけ。

なお、私は「風邪」という言葉が少し嫌いです。

真の病態を言葉でごまかし、感染症対策において不利益が大きいからです。

さてさて、それはなぜなのか…以下、少しお話ししましょう。

 

1)風邪とは何でしょうか

 

風邪とは正式には「風邪症候群」といい、原因の病原体を問わず、上気道(のどや鼻)に病原体(主にウイルス)が付着することにより生ずる様々な症状の総称です。

 

2)風邪という言葉の一人歩き

 

風邪だから問題ない、と普通に過ごされている方は多いと思います。

風邪=軽い病気だからというイメージが強いのでしょう。

 

風邪は感染症です。

病原体がいないと成立しない病気です。

上気道に大量の病原体が存在するため、飛沫や接触により容易に他人へ感染させます。病原体によってはエアロゾル感染・空気感染も起こします。

 

3)コロナウイルス感染症と風邪の関係

現在主力となっているオミクロン株は、いわゆる「風邪症候群」として発症することが大半です。デルタ株の時にも初期症状は「風邪症候群」の症状が多かったですが(後に重症化する方も多かった)、オミクロン株においては顕著にその傾向があり、特にワクチン接種をしている方は、「軽度の風邪症状のまま5日程度で治る」ことが多い印象です。

 

4)風邪を引いたらどうしたら良い

この記事を書いている現在、「風邪症候群」の30-50%は新型コロナウイルスが原因となっていると私は考えています。その為、現状では積極的に抗原検査・PCR検査を受けて、陽性となったら感染を広げないよう徹底する、という対策が重要と考えます。

また、検査が陰性でも新型コロナウイルス感染症でないとは限りません(最もウイルス量の多い時期でも、抗原検査・PCR検査とも20-30%は陰性と出てしまいます)。

新型コロナウイルスでなくても、他のウイルスだから移していい、ということはありません。

風邪を引いたら感染拡大を防ぐため、自分をできるだけ隔離することも非常に重要と考えます。

 

5)まとめ

風邪症状がある場合…

①できるだけ発熱外来を受診する、もしくは自己検査をして、コロナかどうか判断しましょう。

②やむを得ず受診できない場合は、発症から1週間は自分が他人と接触しないように努めましょう。

 

上記だけでも、感染拡大は相当防げる筈です。現状は上記の対策がベストでしょう。

 

但し、現実的にはなかなか難しい問題とも思います。

 

ゼロコロナを目指すわけでなければ、感染がある程度拡大するのは許容して、症状があるときだけ無理せず休む、ハイリスク群の患者さんは早急に3回目ワクチンを接種する、という対策のほうが現実的かもしれません(インフルエンザ対策と似た考えかもしれません)

 

また近日中にオミクロン株についても書きたいと思います。

 

 

3回目のワクチン接種はどうなるの?

かなり久しぶりの投稿です。

前回が4月25日ですので、約5か月空いてしまいました。

 

その間にコロナワクチン接種はどんどん進んで、気づいたら全国民の50%が2回接種終了しているという状況になりました。しかも最も有効性の高いファイザー製ワクチンもしくはモデルナ製ワクチンで。

日本ってすごい国ですね…

 

さて、2回接種が終了した方々にとって、いつまで効果が持続するのか、また3回目のワクチンを接種すると追加効果はどのくらいあるのか、気になるところだと思います。

 

2021年9月15日発行のNew England Journal of Medicine誌に、興味深い論文が2つ掲載されたので、簡単に紹介したいと思います。

 

1)ワクチンの長期的な効果について

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(引用:Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine through 6 Monthsより)

データはファイザー社のワクチンのものとなります。

約46,000人を対象とした第三相試験(半分がワクチン投与、半分がプラセボ投与)の追加データが発表されました。

2回接種後7日以後、2か月までは有効率96.2%と驚異的な発症予防効果が得られていましたが、4か月以上となると83.7%まで低下します。

それでも、上のグラフ(青がワクチン非接種=プラセボ群、赤がワクチン接種群)を見ると、ワクチンによる発症予防効果はとても優れた状態で維持されていることがわかると思います。

 

2)3回目ワクチン接種による追加効果について

イスラエルのデータです。60歳以上の方で2月末までにファイザーワクチンを2回接種した方が約113万人いますが、2021年7月30日以後8月31日までに、3回目の追加接種を受けた方と受けていない方で発症率、重症化率がどの程度違うのかを比較しています。

 

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(引用:Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israelより)

 

結論を簡単に書くと、3回目接種後12日以上経過していると、発症率が約1/11に、重症化率が約1/20に低下します。

 

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(引用:Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israelより)

 

上記が3回目接種後、日別にどれだけ発症予防効果が高くなっていくかというグラフですが、接種後10日目くらいからかなり効果が高くなってきているのがわかります。

 

3)今後の展望について

現状のデータでは、まだ60歳以上の方に追加接種効果が高い、ということまでしかわかっていません。今後は60歳以上の方の追加接種後の長期データ、60歳未満の方のデータ、総合的な感染者数や重傷者数の推移、などがイスラエルから出てくると思います。

 

海外データを踏まえ、日本でも3回目接種が開始されることが予測されますが、まだ時期も未定ですし、3回目にどのワクチンを打つべきなのかも不明です。(モデルナ製ワクチンはファイザー製ワクチンに比較し副反応が強く、3回目はファイザーにしたいという方も多いかもしれません…)

 

今後も有用な論文が多数出てくると思いますので、注視していきたいと思います。

浜松市の新型コロナワクチンの接種方針について

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新型コロナワクチンの接種が徐々に本格化してきました。

医療従事者を中心に現在日本では約165万人に対して接種されており、一日あたり13万回程度の接種が実施されています。

現在でも医療従事者以外に、少数ながら高齢者への接種も並行して実施されていますが、ゴールデンウイーク明けからワクチン供給量が増加し、全国で高齢者への接種が本格化しそうです。

 

今日は、浜松市におけるワクチンの接種予定および、現状で判明している接種プログラムについて、お話ししたいと思います。

 

1) 接種開始時期について

浜松市では、5月17日(月曜日)から80歳以上の高齢者を対象に、個別接種および集団接種が開始されることとなりました。

接種には市から郵送される接種券が必要となりますが、4月26日(月曜日)に対象者に発送されるそうです。

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接種券イメージ

2) 接種の場所について

浜松市では

・個別接種(各医療機関での接種)

・集団接種(特設会場での接種)

の2つの接種場所が選択できます。

個別接種は、かかりつけ医で接種することが原則となりますが、医療機関によってはかかりつけでなくても予約可能となっています。

当院ではかかりつけ以外の方でも接種予約を承ります

 

集団接種は、決められた会場での接種となります(以下参照)

なお、集団接種会場での接種可能時間はまだ不明です。

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3) 接種の予約について

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個別接種(医療機関での接種)は、接種を希望される医療機関に直接予約する方法となります。当院では電話・WEB予約共に承ります。詳しくは次項で説明させていただきます。

集団接種は、LINEで予約もしくはインターネットで予約となりますが、4月25日現在予約サイトは開設されていません。

 

4) 当院での接種を希望される方へ

当院では以下の予約方法で承ります(4月27日予約開始)

 

 ・電話での予約   053-432-5252

 ・直接来院での予約

 

なお、5月17日~21日に接種を希望される方は、5月1日14時までの予約をお願いします(5月17日~の接種分が、5月1日が発注期限となっているため)

 

(注意点)

接種時間は15時30分~16時30分、平日(月・火・水・金)に限らせて頂きます。

(解凍→希釈処置後6時間以内の接種となるため、時間を計算して接種する必要があるため)

 

・供給量の関係から、90人分までの予約が最大となっています。

・ワクチン1バイアルで5人の接種となるため、ワクチンを無駄にしないために日程調整をお願いする場合がございます

 

5) さいごに

供給されたワクチンを速やかに皆様に提供するためとはいえ、行政からの通達が直前となり、かなり混乱している状況が続いています(私たちも4月17日に接種予定だった集団接種を突然24日に延期され、診療時間の調整が大変でした…)

 

できるだけ、皆様には混乱なく、ワクチンを希望される方が滞りなくワクチン接種できるように情報発信に努めたいと考えております。

不明な点は直接来院時にお尋ねいただくか、電話でお尋ねください。

よろしくお願いいたします。