新型コロナウイルスワクチンの現状
皆様こんにちは。
この1か月で、新型コロナウイルス感染症の新規感染者はかなり減少していますね。
一部地域の緊急事態宣言や水際対策強化がここまで効果的とは、正直予想していませんでした。
さて、今日は現状で判明している新型コロナウイルスワクチンのことについて書かせて頂こうと思います。
1)新型コロナウイルスワクチンのスケジュール
一両日中に、まずはファイザー社のmRNAワクチンが認可される予定となっております。認可され次第、一部の医療従事者(おそらく総合病院勤務者主体)に接種が開始され、同時に安全性確認のための調査も実施されます。
その後、約400万人の医療従事者等、65歳以上の高齢者、基礎疾患保有者へ順次接種対象が拡がる予定となっています。
いずれのワクチンも2回接種が必要であり、投与間隔は21日、もしくは28日となります。
2)新型コロナウイルスワクチンの種類
現在日本で認可予定のワクチンは、mRNAワクチン2種類、ウイルスベクターワクチン1種類となっています。
・ファイザー社およびモデルナ社のワクチンがmMRAワクチン
です。
認可の順番から、優先接種対象者にはファイザー社のワクチンが選択されることになると推測されます。
ファイザー社のワクチンは-75度で保存が必要なのですが、
特殊な冷凍庫、どうするんですかね?
このワクチンのためだけに購入したくないな…というのが本心です。
なお、浜松市では2月10日報道で以下のような記事がでています。
当然、当院は協力する、に手を挙げています。でも冷凍庫どうするんでしょう…?
3)新型コロナウイルスワクチンの有効性
以下はファイザー社ワクチンの有効性を示したデータです
(44820人が参加した第三相試験)
青線が偽薬(生理食塩水)、赤線が実薬(ワクチン)です。
簡単に説明すると、
・ワクチン群 18559人中9人発症
・偽薬(生理食塩水)群 18708人中169人発症
ワクチン有効率:94.6%
となっています。特に注目すべきは、ワクチン投与群で発症した人は接種後2週間以後に集中しており(まだワクチンの効果がでていない時期)、2週間経過した後は更に予防効果が高まると推測されます。
4)新型コロナウイルスワクチンの副反応・有害事象
ワクチンの話になると、必ずメディアを通し副反応・有害事象の話題が皆様の耳に入ります。負の面を知ることも当然重要ですが、過剰に不安を煽る報道もどうかと個人的には思います。過去も同様の歴史を繰り返しておりますが、詳細はここでは書きません。
さて、ファイザー社のワクチンの副反応ですが、(左棒グラフがワクチン投与群、右棒グラフが生理食塩水投与群)
発熱、倦怠感、頭痛、寒気、筋肉痛、関節痛などの、感染症に罹患したときと類似の全身反応が主体です。また、グラフにはありませんが注射部位の腫脹、熱感などの局所症状も認められます。
そもそもワクチンというのは、無害な物質を体内に投与することにより、病原体への免疫反応を強化するというものです。
そのため、免疫を有さない病原体への体内免疫機構を構築する過程で、上記のような全身反応を示すのは避けれない道ともいえます。
新型コロナウイルスは多数の方にとっては感染経験のない病原体であり、インフルエンザワクチンよりも全身反応の頻度・程度は強いと推測されます。
また、ワクチンによる重篤な副反応として「アナフィラキシーショック」が挙げられますが、アメリカ合衆国のデータで、2020年12月14~23日の期間に投与した189万3360件中、21件(100万回あたり11.1件)認められたというデータがあります。
なお、ファイザー社の第三相試験や、12月14日~23日の投与後調査において、ワクチンによる死亡例はありません。
5)まとめ
新型コロナウイルスワクチンは非常に高い有効性が期待できます。
投与後数日間の副反応(発熱やだるさなど)は少し嫌ですが、自分が感染することはもっと嫌です。
医療者として万が一自分が感染したときに診療が長期間停止してしまうこと、患者さんへ移してしまう危険性があることを考えると、絶対に接種すべきと考えております。
また、当院へ勤める職員にも、自身が感染し患者さんへ移す危険性を減らすため、積極的に接種を勧めていきます。
ただ、課題はあります。これは我々の問題だけではないですが…
・ワクチン投与後の副反応で発熱したときの休業補償はどうなるのか?
・ワクチン投与後の副反応に対する医療行為は公費対象となるのか?(ワクチンは全額公費対象です)
予防接種健康被害救済制度というものはありますが、軽度の副反応にこの制度を利用するのは非現実的であり、副反応対策として煩雑な手続きなく公費負担での治療ができる体制が整備されていません。国にはこの点も十分協議してもらいたいと思います。
スギ花粉症のおはなし
皆様こんにちは。
約2か月振りのブログです。またまたかなり間が開いてしまいました。
できれば1週間に1度程度の更新を目指したいのですが…がんばります。
さて、スギ花粉症の方々にとっては嫌な季節がやってまいりました。
早速ですが今年の花粉飛散状況はどうなのでしょうか…?
1)2021年度花粉飛散予想
既に微量のスギ花粉は飛散しはじめていますが、本格的に飛散するのは2月上旬と予測されます。
また、今年は昨年よりも飛散量が増えることが予測されまています。
2)花粉症のお薬について
花粉症の治療としては、第一に抗ヒスタミン薬が選択されます。
具体的な薬剤名としては「アレグラ」「アレロック」「ザイザル」などですね。
ただし、抗ヒスタミン薬は非常に多数の種類があり、一般的に
効果が強い薬は眠気が強い
と言われています。
また、抗ヒスタミン薬のみでは効果が乏しい場合、
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・点眼抗ヒスタミン薬
などを追加します。詳細は以下の画像を参照ください。
とても多量の薬がありますね…
現在、市販でも抗ヒスタミン薬は購入できますが、上記のように薬剤の選択肢は多数ございますので、しっかりと治療するのであれば医療機関への受診をお勧めします。
3)花粉症の治療費
●例えば、市販の抗ヒスタミン薬を購入した場合…
(例)アレグラFX 2週間分で2,075円(税込)
となります。4週間で4,150円ですね。
●医療機関を受診した場合(花粉症の治療のみの場合)
初診時 初診料+処方箋料で約1,070円(3割負担の場合)
再診時 再診料+処方箋料で約600円(3割負担の場合)
薬剤費 4週間で約300円(3割負担の場合)
*アレグラのジェネリック 1錠約18円で計算
…医療機関で処方されたほうが、断然お得ですね。
薬剤費は一日で20円~80円程度(1か月で600~2400円=3割負担で200~700円程度)と差はありますが(下図参照)、医師に相談の上で多数のお薬の中から選択できるというメリットも大きいですね。
デメリットとしては、受診の手間と待ち時間…ですね。
4)当院での花粉症治療について
花粉症の症状としては「鼻汁」「目のかゆみ」「咳」などですが、感染症(かぜ)との区別が難しい場合もございます。
院内感染防止のため、初診時の予診で感染症の可能性が否定できない場合は、車内で順番待機して頂く場合もございますので、ご協力をお願いします。
新型コロナウイルスの現状
皆様こんにちは。院長です。
ブログを週1回更新する!…って意気込んだものの、気づいたら11月になっていました。
ということで、久しぶりのブログのテーマはまたまた
についてです。
1)新型コロナウイルスの流行状況
さて、上記のグラフは新規感染者の推移です(Yahooより転載させて頂きました)
9月のシルバーウィークを境に、Gotoキャンペーンの後押しもあり、人の移動が急に増えましたが、やはり緩徐に新規感染者数は増加しています。
また、浜松市内でも徐々に街中に人が戻ってきていますが(個人的現地調査結果)、再びクラスターが発生してしまいました。
現状では、政策としてもGotoキャンペーン中止の気配はなく、新規感染者が更に増えていくことが懸念されます(政策には今回言及しませんが、思うところはあります…)
2)新型コロナウイルスの症状は?
浜松市のホームページから、200例目以後の45名の内訳は…
無症状者17名
有症状者28名(すべて軽症)
となっています。
細かいデータは載っていませんが、軽症者の症状は咽頭痛や鼻炎、咳、発熱などが多く、新型コロナウイルスと他のウイルス感染症との区別は困難と言わざるを得ません。
更に、感染リスクを伴う行動のない方の発症例は、現在30%以上と言われています。
実際診療していても、症状から新型コロナウイルスか他のウイルス感染症か区別する自信はありません…
3)今後みんなで心がけるべきこと
新型コロナウイルスは症状の出現する1~2日前からウイルスを排出します。
無症状期にもできるだけ感染を広げないようにするために必要なこと、それは以前のブログにも書きましたが、
「ユニバーサルマスキング」
です(全員がマスクを装着し生活すること)
また、なかなか難しいですが、「ウイルス感染かな?」と思う症状=喉の痛み、発熱、非アレルギー性の鼻炎など=が出現したとき(この時期が一番ウイルスを拡散させる時期です)に自らを速やかに隔離することです。
特に、3密環境がどうしても避けれないコミュニティ(例えば学校、保育園/幼稚園、狭い場所での飲食業など)で生活されている方には特に重要な心掛けとなります。
また、自己隔離後に軽症であれば、治癒するまで自宅静養の方針でも問題ないと思いますが、他人に感染させやすいコミュニティで生活・仕事をされている方は積極的に新型コロナウイルス検査(PCR検査)を実施すべきと、個人的には考えています。
現在、医師の判断の元で新型コロナウイルスの検査(PCR検査、抗原検査)を実施する場合には検査費用は公費負担となります。また、以前は限られた医療機関でしか検査が困難でしたが、現在は一部のクリニックでも検査が実施できるようになっています(当院でも9月下旬から検査可能となりました)
なお、当院ではウイルス感染症の可能性のある方と、その他の患者さんを完全に動線分離して診察することが可能となっていますので、安心して受診してください。
4)インフルエンザウイルスのワクチンは必要?
今後寒くなるにつれて、ウイルス感染症は増加することが予測されます。
そこで我々ができる他のこと、それは
インフルエンザワクチンをみんなで接種することです。
インフルエンザワクチンは、個人個人での予防効果はさほど高くないのですが、集団接種することにより総感染者数は明らかに減少します。
我々が考える最悪の事態は、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症が同時に急増することです。
こうなると、小児や高齢者には脅威となります…また、医療機関も間違いなくパンクするでしょう…
普段インフルエンザワクチンを接種されない方でも特段の事情がない限りは、
皆を守るために、できるだけ接種するようお願いしたいです。
5)さいごに
普段から3密対策、接触飛沫感染対策をしていても、ウイルス感染は完全に防ぎきれるものではありません(もしウイルス感染を封じ込めるとしたら、5月の緊急事態宣言レベルの制限を延々と継続しなければなりません)
また、風邪かもしれないなぁ…って感じても速やかに自己隔離(通学や仕事を避ける)できる方は多くないと思います。
つまり、普通に生活している限り、新型コロナウイルス感染症は誰でもかかる可能性があります。
だから、決して感染者を差別しないでください。非難しないでください。
もし不幸にして感染された方がいても、感染された方が悪いのではないのです。
悪いのは病原体です。
一番つらいのは感染された方々です。
その事を最後にお伝えし、今日は終わりたいと思います。
ユニバーサルマスキング
皆様こんにちは。
9月17日~20日まで日本アレルギー学会学術講演会、20日~22日まで日本呼吸器学会学術講演会が開催されています。
今年度は新型コロナウイルスの影響により、WEB配信での開催となっていますが…移動や宿泊の手間が省けてとても楽!なのです。
現地開催だと席の確保も難しい、立ち見で疲れる、一生懸命聴こうと思っても聞き取りづらいなどの問題も…WEB配信だと興味のある演題は繰り返し見れるし、リラックスしてお勉強できるし…もう永遠にこの形態での学会開催で良いです。
さて、今回はまた新型コロナウイルスに関連するお話しをしたいと思います。
ユニバーサルマスキング
何それ?となりますが、単純です。
「みんなが揃ってマスクを装着すること」です。
さて、どのような効果があるのか…順を追ってお話しします。
1)新型コロナウイルス感染症の経過について
いきなりややこしい絵で申し訳ございません。
これは新型コロナウイルスの一般的な経過のグラフです(元は英語ですが、一部わかりやすくするため日本語に直してあります)
ポイントは
・ウイルスに暴露した後、発症前から既に気道のウイルスが増加している=感染力を有している
・それと共にPCR陽性率も増加する
・PCR陽性は数週間持続するが、ウイルス排出期間は10日以内
…つまり、発症前から既に人に移す可能性があるということです。
上の絵は、新型コロナウイルス感染症に罹患した患者さんの感染経路です。
最も多いのが「症状出現前の患者」、次に多いのが「症状出現後の患者」からの感染です。
2)新型コロナウイルスを移さない・移されないためにはどうしたらいいの?
感染症を伝播させない大原則は
「かぜ症状・発熱・だるさなど普段と異変を感じたときには積極的に自らを隔離すること」
です。これは飛沫感染・接触感染をするすべてのウイルスに共通することです。
インフルエンザウイルスは、発病後~2日までにウイルス排出量が急速に増えるため、この対策だけでも実は対応できてしまいます。
しかし、新型コロナウイルスは、発病前からウイルス排出量が増加しており、実際発病前の患者からの感染が最も多いのです。なので、発病してからの自己隔離では、他人に感染させてしまう可能性が十分にあります。
なので、普段から飛沫を他人に飛ばさないことを皆で意識すれば良いわけですね。
その最も効果的な対策が、
ユニバーサルマスキング
なのです。
3)ユニバーサルマスキングの効果
この事例はすごいですね。
(その他、空調の工夫や接触感染対策もなされていたと思いますが)
もしお客さんがマスクを着けていなかったら、大惨事になっていたと思います。
マスクは飛沫散布をかなり防いてくれます。
4)さいごに
ということで、人と接する場所での活動では、常にみんなでマスクをすることがとても重要です。
以下のような、換気、手指消毒、環境消毒、ソーシャルディスタンスも加えることによりより一層の感染対策になりますので、引き続きこちらも継続しましょう。
…あと、運動中はどうしたらよいか?
当院では、運動中は「一定の距離が保たれており、大声を出さなければ運動中のマスクは不要」と考えています。職員はマスク装着を義務づけ、環境清掃は徹底しており、機器の配置から飛沫感染は起こりにくい環境となっているためです。(あとは現状会員様が少なく、密になりにくい環境になっていることもありますが…)
ということで、ここまで読んで下さったかた、ありがとうございますm(__)m
なるべく週1回くらいのペースでこのブログもアップしていこうと思っていますので、、よろしくお願いいたします。
さぎさかクリニックでの生活習慣病管理
皆様こんにちは。
なかなかブログをアップできなくて申し訳ございません…
さて、今回は
「さぎさかクリニックでの生活習慣病管理」
についてお話させて頂きたいと思います。
1) 生活習慣病とは?
食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称です。
代表的な病気としては
・糖尿病
・高血圧
・肥満症/メタボリック症候群
・脂肪肝
となります。
2) 当院での診療方針
生活習慣病は薬剤による治療だけでなく、
・運動習慣の見直し
・食生活習慣の見直し
も非常に重要です。
当院は運動施設を有しており、また栄養士も常在しています。
医療機関に通院するだけで、運動・栄養管理まで完結できることを目的としています。
3) どのように診療をすすめるのか?(糖尿病の場合)
もし、糖尿病の疑いがあると健康診断で指摘されたとしましょう。
まずは、本当に糖尿病かどうか、糖尿病としたらどのくらいの重症度なのかを評価する必要があります。
ただ、一口に糖尿病といっても、理想的な治療には様々な選択肢があります。
数値(糖尿病の場合、HbA1Cという値を指標とします)だけ下げるのであれば薬物治療だけでもある程度改善しますが、根本にある生活習慣の改善を目指すことが、一番重要です。
例えば、身長165cm、体重90kg、体脂肪率40%でHbA1C 7.3%だった場合…
体脂肪量を減らすだけで糖尿病に対する投薬が不要となる可能性は極めて高いです。
当院では栄養士が常在していますので、定期的に栄養指導を受けていただくことが可能です。
また、ダイエットを試みるときには、体重減少に伴い筋力を低下させないことが非常に重要です。
当院の運動施設は、1階がマシントレーニングエリア、2階がスタジオとなっております。マシントレーニングが初めての方にも丁寧に指導させていただいております。また、スタジオプログラムも初心者の方でも参加しやすいプログラムが揃っております。
4) さいごに
開院して4か月、既に多数の方に当院を利用していただき、生活習慣病を有する方でも次々と成果が出始めてきています。
是非、近隣の方に当院をご利用いただき、これからも健康増進にお役に立ちたいと考えています。
なお、運動施設の利用には必ずしも受診の必要はございません(生活習慣病予防のため運動施設のみの利用も可能です)。詳しくは当院までお気軽にお問い合わせください。
新型コロナウイルスについての諸問題
浜松市でも急激に新型コロナウイルス(COVID-19)感染症患者が増加しています。
当院でも当初、新型コロナウイルスの動向が不明なこともあり、運動施設についても制限をかけて運営しておりましたが、現在は十分な感染対策の元、通常運営しております。
理由としては、現在までの様々なデータや経験の蓄積を基に、ゼロリスクは難しいものの限りなくリスクを減らし運営が可能と考えているからです。
なぜそのような結論に至ったのか…
その詳細を書かない限り、皆様の不安を拭えないと思いますので、現状におけるCOVID-19についての私の考え方を記載させて頂きたいと思います。
少し長くなりますが、宜しければ是非ご一読下さい。
1) COVID-19はどうやって移るのか?
感染症は主に
・飛沫感染
・接触感染
によりヒト⇒ヒトへ感染します。病原体によっては空気感染・エアロゾル感染を示しますが、
クラスター(集団感染)は飛沫もしくはエアロゾル感染(三密環境で発生しやすい)
と考えておけば良いと考えます。
2) COVID-19の症状
COVID-19に感染しても半数は無症状と言われています(無症候感染者)
発症した方の症状は様々ですが、発熱・咳・咽頭痛・倦怠感・味覚障害・嗅覚障害が初期症状としては多いといわれています。
大事なことは、普段と違う体調の時には既にCOVID-19を発症している可能性があるということを念頭においてください。
3) COVID-19の感染力
COVID-19は発症前日~有症状期に人に感染させる可能性があります。
ウイルス感染の一般的な考え方として、最も感染力が高いのは、発症早期~発症数日間です(例:インフルエンザウイルス)が、コロナウイルスの怖いところは発症前にも既に感染性が高いところです…
4) PCR検査は有用なのか?
テレビ等のメディアでは、さかんにPCR検査を積極的に実施することがCOVID-19の拡散予防になるような啓蒙がなされています。
一呼吸器内科医として、PCR検査を無差別に実施することには断固反対です。
PCR検査は、感度(真に感染している人を診断できる確率)70%程度であり、特異度(真に陰性である人を陰性と診断できる確率)も100%ではありません。
なので、PCR検査が陰性だとしても、仮に1000人患者がいれば300人陰性と判断されてしまいます。この300人が陰性結果を印籠として通常の日常生活を営めば、感染を拡大させてしまうことが目に見えています。
また、感染調査として無症状の方にPCRを実施すれば、感染率0.1%の集団であれば、99人の偽陽性患者が出てしまい、不必要な隔離を必要としてしまいます。
(下図参照)
5) COVID-19の危険性
下図は日本における年代別死亡数/死亡率です(2020年7月8日現在)
図をみると、60代以上において死亡率が増加していますが、これは実はインフルエンザや細菌性肺炎の死亡率とさほど差がありません。
当然高齢になればなるほどリスクは高まりますが、若年者は大部分が軽症で済んでしまうのです。
6) ここまでのまとめ
前置きが長くなりましたが、1)~5)をまとめると、
・微熱、普段と違う体調(だるさ、普段と違う咳や鼻水、のどの痛み、鼻炎、味覚障害など)の際にはCOVID-19感染初期である可能性がある
・感染初期が最も感染力が高いが、感染前数日で既に人に移す可能性がある。
・三密環境は集団感染(クラスター感染)の危険因子
・PCR検査は万能ではない
・生命の危険性は通常の肺炎やインフルエンザと大差がない
ということです。
なお、COVID-19には
・有効な抗菌薬が存在しない
・ワクチンが存在しない
=自分の生命力や免疫力に掛けるしかない
というところが、不安を増長させる因子となっているのでしょう。
7) じゃあどうすれば良いの??
結論からすると、対策は2点です。
1) 感染しないようにする
2) 感染させないようにする
これはCOVID-19に限らず、すべての感染症に対する原理原則であり、これを徹底するだけなのです。
今までは、風邪をひいても風邪薬を飲んで症状を抑えて働いたり、学校に行ったりするのも当たり前でしたし、インフルエンザ流行期以外はマスクをしなかったですし、手洗いの習慣はあっても手の消毒の習慣を持っていた方はあまりいなかったと思います。
なので、対策の一丁目一番地は上記1)2)を標準予防策により徹底することなのです。
決してPCR検査をいっぱいすることではありません。
8) 感染しない・させないようにするために必要なこと
最も完璧な方法は、誰とも接しないようにすることですが、現実的には不可能です。
社会生活を営みながら感染をできるだけ予防する方法を考えることが理想です。
・無症状で感染しているときに人に感染させない⇒マスクの装着と手洗い・消毒
・ウイルスへの暴露を避ける⇒マスクの装着と手洗い・消毒・ソーシャルディスタンス
・クラスター感染を防ぐ⇒三密環境(密閉・密接・密室)を避ける
・体調が変であるときは積極的に自らを隔離する(最も重要)
・人と接触する機会をなるべく減らす(出張・買い物・面会の頻度の工夫など)
・手が良く触れる場所の掃除(中性洗剤でも十分。アルコールや次亜塩素酸ナトリウムは効果が高いが、次亜塩素酸ナトリウムは取り扱い注意)
…以上を全員が守れれば、感染拡大は相当防げる筈です。
9) 今後の予測される展望
残念ながら、COVID-19が完全に消えてしまうことはないでしょう。
なので、共に生きていくしかないのです。
共に生きるとは「可能な限り感染リスクも減らしつつ社会生活を営み、感染した際には感染予防の徹底と適切な医療の提供を実践する」ということです。
個人的には、現在の最大の問題点は上記の方針が国民全体に伝わっていないことと考えています。現状の不安だらけの世の中を作り出してしまったのは、政府の責任・マスコミの責任も大きいですが、やはり我々一人一人が正しい知識を手に入れて、適切な感染対策を講じること、正しい知識のもと不安を払拭していくことが重要と考えます。
10) 当院のCOVID-19に対する取り組み
・正確な情報を基に医療を実践すること
・患者さんの不安を払拭すること
・困ったときに積極的に助けになれること
が当院の使命と考えています。
・職員の健康管理を徹底していきます(日常生活における感染予防・就業前の体調チェック)
・発熱患者さんでも基本的に診療は断りませんが、感染リスクを十分考慮した上での診療体制を維持します(他患者さんと時間が重ならないようにする、換気の徹底、環境清掃の徹底)*9月以後は院外診察室を設置する予定です。
・運動施設でも利用者様の健康チェックを徹底します
・運動施設内の換気・清掃を徹底します
プロテインの基礎知識
皆様こんにちは。
更新頻度が少なく大変申し訳ございません…
さて、今日は「プロテイン」について、少しお話したいと思います。
ひとことでプロテインといっても、世の中には様々な製品が販売されています。
ホエイ、ソイ、BCAA、アミノ酸etc…様々な表記がされていますが、いったい何がどのように役に立つのか?
1)原料について
プロテイン製品の原料は、「牛乳」か「大豆」です。
牛乳由来の製品は「ホエイ」「カゼイン」に分かれます。
大豆由来の製品は「ソイ」です。
2) それぞれのプロテインの特性について
ホエイプロテイン⇒筋力増強に向いている
吸収が早く、筋力トレーニング前後で摂取することにより筋力増強効果が最も期待できる
ソイプロテイン⇒ダイエットに向いている
吸収は緩やかなため、トレーニング前後で摂取しても筋力増強効果は弱い。代謝を良くするアルギニンが豊富に含まれているので、筋力維持しつつダイエットをしたい時に有用。牛乳不耐症の方でも使用可能。またイソフラボンも豊富に含まれ、美肌効果も期待できる。
ホエイと同様牛乳由来であり、筋力増強に有効な成分が多く含まれるものの、吸収は緩やかであり、トレーニング前後の摂取には向かない。
プロテイン(たんぱく質)は胃でペプチドに分解され、更に腸でアミノ酸に分解され、体内に吸収されていきます。
たんぱく質は腸で吸収されませんが、アミノ酸やペプチドは吸収されます。また、ペプチドのほうがアミノ酸より効率よく吸収されます。
そのため、プロテイン製剤・アミノ酸を大量に摂取しても、分解されないまま排泄されてしまう、アミノ酸としても吸収しきれないまま排泄される、ということになってしまいます。
なので、「ソイペプチド」「ホエイペプチド」「カゼインペプチド」が最も効率的な製品となりますが、精製に手間がかかるため、割高となってしまいます。
4)目的に合わせたプロテイン製剤の選び方
体重も筋肉も増やしたい⇒ホエイプロテイン
体重は減らしたいが筋肉は維持したい⇒ソイプロテインもしくはカゼインプロテイン
となりますが、
体重は減らしたいが筋肉は増やしたい…
という究極の願いを叶えるとしたら、なかなか難しい問題です。
それを解決する方法としては、
・筋力増強に役立つ成分が多く含まれている
・かつ、代謝を良くする成分が多く含まれている
・更に即吸収性
という3点を満たす必要があります。
市販の製品ではなかなか難しい問題ですが、上記3条件を満たす製品として
・即吸収性⇒ショートペプチドである
という製品があれば理想的ですが…
あります!
当院では委託契約下に「CSPP1 カゼインショートペプチド」を7月中旬から販売を開始しました!
スティックタイプ(5g×20包):3240円(税込)
バッグタイプ(600g):13980円(税込)
と割高ではありますが、カゼインの吸収の遅さを克服した製品であり、ホエイプロテイン以上の効果が期待できます。
興味のある方、是非一度クリニックにお問い合わせください。